年の瀬の思うこと
歳をとるほどにホントに一年が過ぎてゆくスピードが加速します。今年ももう終わり。
年末になると毎年「このミステリーがすごい」を立ち読みして(ごめんなさい)まだ読んでいない、おもしろ本を探します。ぜひおすすめしたい本が永井紗耶子さんの「木挽町の仇討ち」江戸の市井の人々の暮しと人情が、ドラマチックな仇討ちを通して語られます。ミステリーとしても上出来ですが、例えばLGBTに対する江戸の人たちの意識もよくわかります。男同士、女同士の性愛もありですが、我が国のそれは欧米人の考える「ジェンダーフリー」とは全く別物なのです。
最近は時代小説の分野でも女性の活躍が目覚ましいですね。あさのあつこさんの「弥勒の月シリーズ」は新刊が出れば即買いますし、宇江佐真里さんの「髪結い伊三次捕物余話」も面白い。
私は、池波正太郎、司馬遼太郎、藤沢周平のビッグスリーで時代小説にハマりましたが、これもそれこそ時代の流れかなー。
しかし、時代を超えて人間といもの、社会というものの本質を見据えた作家は池波正太郎にとどめを刺すと思います。
「正論」2月号に池波正太郎の「男の系譜」からの引用が載っていました。「政治というもは、汚いものの中から真実を見つけ出し、貫いて行くものでしょう。それを『政治は正しい者の、正義の味方だ』というようなことをいっても、僕は全然信用しない。そういうキレイごとがあり得るとは思わない。どんな人が政権とっても、古往今来、何千年何万年たっても、そういうことがあり得るはずがない。『正義の政治』だの、『清潔な政治』だなんていう政治家は絶対信用しないね。汚いものの中から真実を通してゆく、それが政治家なんだ」
うーん。深い。さすがは「鬼平」。来年「男の系譜」読み直そう、と思いながら年越しそばを食べたのでした。
今年もお世話になりありがとうございました。