熊野本宮大社例大祭
宗教がちがえば殺し合う、これが常識であった時代が長く続きました。
1618年に始まる30年に及ぶ戦争でヨーロッパはボロボロになります。さすがに、もうやめようとウエストファリア条約が結ばれ、ようやく宗教の違いを問題にしないという機運が生まれます。(今でも中東では宗教の対立は根深いけれど)
我が国は仏教の伝来で多少のギクシャクはありましたが、誰の発案か「本治垂迹説」(八百万の神々は仏の権現、仮の姿である)で神様も仏様も仲良くお祀りしています。
本宮大社の例大祭、神主さんもお坊さんも、私たち衆生(しゅじょう)も皆平等に神様の前に額(ぬか)ずきます。
「なにごとのおわしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」西行が伊勢神宮に参詣した折に詠んだとされる歌。
本宮大社にも「サムシンググレート」なんだか分からないけどとてつもなく偉大な存在がおわします。もう鳥居をくぐったら背筋がピンとして霊気を感じますね。
宮司は熊野から世界平和を発信していきたいと話しておられました。神仏習合はヒントのひとつかもしれません。
この例大祭には岸本知事も参詣される予定でした。
岸本知事とは衆議院選挙で激しく議席を争ってきたこともあり、自民党には独自の知事候補を立てるべきとの声も強く、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論がなされました。
しかし、岸本知事の元で和歌山県政界は見事に習合し、県政発展に向け取り組み始めたところでした。が、まさかの訃報、残念でなりません。
熊野は「甦(よみがえ)りの地」 短くはありましたが、岸本知事が県政に蒔いた種は後に続くものたちによって花開くことを信じて、ご冥福をお祈りいたします。