水素で未来を拓く

健康グッズにも流行があるみたい、少し前はマイナスイオン、プラズマスラスターなんてのもありました。買われた方もいるでしょうが、学術的に効果があるとされたものではありません。
最近はなんだか「水素」が人気、ある日冷蔵庫を開けると水素水なるものが入っていました。水なので特に悪いものではありませんが、ミネラルウオーターで十分、ネットで見ると結構高いし、意を決して家内に「水素水てそんなに効果ないよ」
さてさて、とかく話題の「水素」
「人工光合成で拓く未来の水素社会」と題する講演会に参加しました。講師は京都大学大学院教授 阿部竜先生です。
会場は満席、勉強熱心な高校生の姿も、やっぱり「水素」はえらい人気、旬ですね。
人類の生存には電気が欠かせませんが、発電による二酸化炭素の増加が大問題、その点水素は酸素と反応して電気を生みますが、CO2は無しの優れもの、さらに窒素と反応すればアンモニアとなり肥料が作れる、そのうえ、二酸化炭素と反応させて炭化水素をつくれば合成燃料までできちゃいます。
すごいぞ「水素」
問題はこの「水素」をどうやって作るか、これが悩ましい、メタンガスなどから「水素」は作くられていますが、二酸化炭素が出てしまいます。もちろん学校で習ったように、水を電気分解すると水素はできますが、そもそもその電気はどこからもってくる?
そこで、植物の光合成からヒントを得た阿部先生は太陽光で水を酸素と水素に分解するべく、触媒を研究、見事成功しました。名付けて「人工光合成」
太陽光を当てるだけで、あら不思議、水が水素と酸素に、魔法みたいですが、これぞ化学の神髄、サイエンス、エビデンス無しの「水素水」とは違います。
今年のノーベル化学賞には北川進氏が選ばれましたが、阿部先生の研究はエネルギー問題を根本的に解決する可能性を秘めたもの、ノーベル賞への期待も高まります。
ところで最近の冷蔵庫には「水素水」は無くなりましたが、なんやらの水で作った炭酸水なるもの(高そう)が入っていました。トホホ。